
トットリボーン!タイムズ 2050年わたしたちがつくるゼロカーボンのまち(23) 学生相互派遣事業 意見交換で視野広げる
2025年01月10日(金) 日本海新聞 本紙
「食の循環」をテーマに鳥取県が本年度、鳥取環境大と連携し実施したフィンランド・トゥルク市との学生相互派遣事業で、県内の大学生が、来県したフィンランドの派遣学生と脱炭素社会の実現に向けて意見を交わした。視野が広がり、「広く世界に目を向けて新しい活動をしてみたい」と心を動かされた学生もいた。
フィンランドの学生5人は昨年12月、5日間の日程で鳥取県に滞在し、自然農場や豆乳製造工場など県東部で「食の循環」に取り組む施設を視察。鳥取環境大であった意見交換会には、若者の視点で脱炭素に取り組む学生団体「トットリボーン!ユース」のメンバーら約20人が参加した。
県内学生はフィンランドの環境教育に感銘を受けたり、環境問題の解決に取り組むさまざまな視点に気付かされたりした。同派遣事業に参加した鳥取環境大の甲田紫乃准教授は「参加学生が一皮むけたことが目に見えて分かった」と振り返り、この交流が学生たちの行動を促し、社会貢献につながる活動へ発展していくことを期待した。
また、脱炭素社会への取り組みは「日常の生活の中に当たり前にある」という認識を刻み込み、県内学生の価値観を変えた。同行して来県したトゥルク市職員のイリス・クリイクラさんは「社会の意識改革のため、まず学生から日常生活の中でのモチベーションと行動を変えてもらいたい」とエールを送った。
同派遣事業の報告会は3月14日に鳥取市内で開催予定。鳥取県からは昨年秋、大学生3人と甲田准教授がフィンランドに派遣されていた。
【写真説明】「脱炭素社会に向けて一緒にできること」をテーマにグループワークをする学生ら

トットリボーン!タイムズ 2050年わたしたちがつくるゼロカーボンのまち(24) エネルギーの地産地消へ 鳥取スタイルPPA推進
2025年01月17日(金) 日本海新聞 本紙
脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして太陽光発電の利用は欠かせない。鳥取県は県内の発電事業者や地域新電力会社が連携して取り組む「鳥取スタイルPPA」で、太陽光発電の導入に力を入れる。
PPA(電力購入契約)は、個人や企業が提供する敷地や屋根に発電事業者が太陽光発電設備を設置し、発電された電力をその施設へ供給する仕組み。施設は初期投資や維持管理の費用がかからずに太陽光発電を導入できるほか、電気料金に燃料費や再エネ賦課金を含まないため、長期的に安定した価格で電気が使用できるメリットがある。
鳥取スタイルが目指すのはPPAを県内の発電事業者、地域新電力会社で構成すること。地域の脱炭素を進めることに加え、エネルギーの地産地消で富を地域内循環させる狙いがある。
再エネ電力で地域内の経済循環を拡大する取り組みは、民間企業にも広がっている。2022年7月に設立した山陰合同銀行の子会社、ごうぎんエナジー(松江市)は太陽光発電など再エネに関係する事業を手がけ、鳥取県内のPPAは24年12月時点で30件の契約実績がある。
このうち、米子北高などを運営する学校法人翔英学園(米子市)との事業では、同校の体育館の屋根に太陽光パネルを設置し、24年4月から電力の供給を開始。パネルの出力は162キロワットで、同校の年間使用電力の約2割が賄われている。
ごうぎんエナジー営業戦略部の足立亮副部長は「銀行グループの強みを生かした再エネ関連事業により、地元企業や自治体の脱炭素化や価値向上のサポートをしたい」と展望を話す。
【写真説明】米子北高の体育館の屋根に設置された太陽光パネル(ごうぎんエナジー提供)

トットリボーン!タイムズ 2050年わたしたちがつくるゼロカーボンのまち(25) 鳥取発!健康で快適な暮らしをかなえる 家づくりガイドブック完成
2025年01月30日(木) 日本海新聞 本紙
脱炭素社会の実現に向けて、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして太陽光発電の利用は欠かせない。鳥取県は県内の発電事業者や地域新電力会社が連携して取り組む「鳥取スタイルPPA」で、太陽光発電の導入に力を入れる。
PPA(電力購入契約)は、個人や企業が提供する敷地や屋根に発電事業者が太陽光発電設備を設置し、発電された電力をその施設へ供給する仕組み。施設は初期投資や維持管理の費用がかからずに太陽光発電を導入できるほか、電気料金に燃料費や再エネ賦課金を含まないため、長期的に安定した価格で電気が使用できるメリットがある。
鳥取スタイルが目指すのはPPAを県内の発電事業者、地域新電力会社で構成すること。地域の脱炭素を進めることに加え、エネルギーの地産地消で富を地域内循環させる狙いがある。
再エネ電力で地域内の経済循環を拡大する取り組みは、民間企業にも広がっている。2022年7月に設立した山陰合同銀行の子会社、ごうぎんエナジー(松江市)は太陽光発電など再エネに関係する事業を手がけ、鳥取県内のPPAは24年12月時点で30件の契約実績がある。
このうち、米子北高などを運営する学校法人翔英学園(米子市)との事業では、同校の体育館の屋根に太陽光パネルを設置し、24年4月から電力の供給を開始。パネルの出力は162キロワットで、同校の年間使用電力の約2割が賄われている。
ごうぎんエナジー営業戦略部の足立亮副部長は「銀行グループの強みを生かした再エネ関連事業により、地元企業や自治体の脱炭素化や価値向上のサポートをしたい」と展望を話す。
【写真説明】米子北高の体育館の屋根に設置された太陽光パネル(ごうぎんエナジー提供)

トットリボーン!タイムズ 2050年わたしたちがつくるゼロカーボンのまち(26)トットリボーン!ユース 若者の視点で脱炭素啓発
2025年02月28日(金) 日本海新聞 本紙
水を電気分解して発生させた水素の力でロケットが飛ぶと、子どもたちの大きな歓声が会場に響いた。
鳥取市の津ノ井小学校で昨年11月、PTA主催の「つのいっこフェスティバル」が開かれ、催しの一つとして再生可能エネルギーを学ぶワークショップが行われた。講師を務めたのは、「トットリボーン!ユース」(通称=TRY!)に所属する学生たち。若者の視点で行う脱炭素社会の実現に向けた啓発活動の一環で実施した。
TRY!は2023年の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に参加した学生を中心に、24年5月にメンバー20人で設立。地球温暖化対策や脱炭素の取り組みを担う次世代リーダーとなることを目指して活動する。
設立1年目は公立鳥取環境大やイクレイ日本、県などの支援を得て、先進自治体のフィンランド・トゥルク市と学生の相互派遣事業を実施。「食の循環」をテーマにした意見交換や取り組みの視察を行い、脱炭素への理解を深めた。
さらに、TRY!は啓発活動や情報発信にも力を入れる。イベントや学校行事へ出展し、ワークショップやパネル展示を行ってきた。会長の黄岩松さん(25)=公立鳥取環境大4年=は「環境問題に無関心な人がいても、無関係な人はいない。相互派遣事業などで得た知識を生かして、多くの人に関心を持ってもらえるように今後も積極的に活動していきたい」と語る。
TRY!は3月14日、鳥取市民交流センターで本年度の活動報告を行う。黄さんは「誰でも参加できるので、多くの人に来場してもらいたい」と話す。
【写真説明】ワークショップで講師を務めるTRY!のメンバー(左)

トットリボーン!タイムズ 2050年わたしたちがつくるゼロカーボンのまち(27) 企業、若者、行政一丸で対策 トットリボーン!ミーティング
2025年03月30日(日) 日本海新聞 本紙
鳥取県内で気候変動対策に取り組む企業、若者、行政が事例を発表し、地球温暖化対策の専門家を交えて意見交換する「トットリボーン!ミーティング」が14日、鳥取市内で開かれた。参加者らはそれぞれの取り組みや考えを共有することの重要性を体感し、一丸となって対策を進めることを誓った。
企業からは、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組んだことで、電気料金の削減や企業価値の向上につながったことなどが紹介された。持続可能な都市と地域を目指す自治体協議会「イクレイ日本」の内田東吾事務局長は「トランプ政権発足後、関税やウクライナの問題などに象徴される大きな変化が起きている」と世界の現状を分析。「流通のコストやリスクが高くなる傾向が続き、日本は独自に物や電力、食料を生産することも本格的に考えるべき時期で、エネルギーを地域でつくり、消費することが重要になってくる」と述べた。
一方、若者は脱炭素社会の実現に向けて普及啓発に取り組む学生チーム「トットリボーン!ユース」のメンバーが、2029年にカーボンニュートラル実現を目指すフィンランド・トゥルク市との交流事業や子ども向けワークショップなどの活動について発表。全国地球温暖化防止活動推進センターの平田裕之事務局長は「世界では若者が積極的に環境問題のメッセージを発信している」とし、「学生が自ら取り組み、発信しやすいのが鳥取県の良さ。企業、若者、行政が一体となり、互いに助け合い、盛り上げて地域を良くしてほしい」とエールを送った。
【写真説明】気候変動対策に一丸となって取り組む企業、若者、行政の関係者ら)